荒川の昆虫写真展 625種1000点(A3サイズ)入場無料

場所 八木橋デパート8階カトレアホール 日時 8月15日〜20日10時〜19時最終日17時

ハチ目 ベッコウバチ科 キオビベッコウ♂

 地球温暖化の問題で、記録的な豪雨、豪雪、記録的な暴風、突風、記録的な猛暑、かんばつなど、かつてない自然災害が身の回りで頻繁に起きています。私たちが住む生活環境にどんな変化が起こっているのか考えると、身近な空間を調べてみる必要を感じ、2002年から荒川の自然に目を向け、カメラを携えて、野草、野鳥、そして昆虫と、継続して調査をしてきました。中でも昆虫は、多くが地域に根付いており、環境を推し量るには最も有効で、多くのことが分かってきました。

 荒川は、川の流れがもたらす涼やかな風と、森がもたらす涼気とが河川敷全域に恩恵をもたらし、真夏の猛暑を和らげる効果があります。荒川近郊の住宅地も少なからず恩恵を受けているように思われます。12年間には何度かの記録的な猛暑に見舞われましたが、昆虫の発生数には大きな影響がなく、種類、数ともに他の地域に劣らない記録ができました。異変が起きたのは河川敷の環境で、2010年頃から雑草が河川敷全域にはびこり、管理の行き届かないところでは虫が集まる野草が生育できなくなり、樹木も侵され、ここ3年で立ち枯れが急増、台風によっておびただしい数の倒木が見られました。川、花、森と深い係わりのある昆虫は一気に減少、今まで撮影した写真が貴重な記録となりそうです。荒川のみならず、各地で、河川の荒廃で昆虫に影響を及ぼし、あたりまえに見られたナツアカネ、アキアカネなどのトンボの発生数が激減しています。何らかの対策を取らないと、写真が遺影になってしまうかもしれません。

 身近な空間を見直すきっかけとして、市民の財産ともいえる荒川の自然、市民と同居する昆虫たちの素顔を多くの方に見てもらいたいと願い、荒川の昆虫写真展を開催することになりました。

 今いじめ問題が蔓延しています。幼児虐待が後を絶ちません。子供たちの置かれた環境は荒んで、子供を犠牲にした社会となっています。荒廃に昆虫たちは逃げ場を求めて飛び立つことができますが、子供たちはどんな劣悪な環境でも逃げ場がありません。大人とは、目先の損得で判断するのではなく、子どもの将来を見据えて判断するものではないでしょうか。身近な空間の中核は家庭であり、家族関係を見つめなおすきっかけになればと、強く願うものであります。

大島正明